それって万引きと一緒じゃん。

どうもこの頃、似たようなニュースを目にする。

ひとつは大手ネット通販企業に従業員を派遣していた派遣会社の賃金未払い。
もうひとつは大阪でスイーツを生産するお店の賃金未払い。
そう、どちらも賃金未払いに関連するニュースだ。

そして僕はこれらのニュースになぜか苛立ちを感じた。

労働は基本、賃金という対価を得ることによってその契約が成立する…と僕は認識している。
つまり、使用者がいくらかの賃金をあなたに払うからこんな仕事をしてね、と前もって約束しているからこそ、労働者は能動的に働くことができる。
もしも賃金が正当に支払われることがなければ、本来真面目に仕事をする必要もなければ、嫌な労働も請け負わないのが、まぁ一般的な認識だろう。
さらにいえば賃金を得ることができるからこそ日々の生活が送れるのであって、使用者(雇用する側)は労働者に明日もまた働いて頂戴ね、という意味も込めての賃金も支払う必要がある。
つまり、文化的で必要最低限度の生活を雇用される側が無理なく送ることにも、使用者はその責任を負うべきだ…と僕は思う。

ここらへんの話題は以前紹介した佐藤優氏の著書にも書いてある。

そうした使用者側の責務をとつぜん、しかも一方的に放棄し、逃げ回るのは労働者の生活を奪うことに等しいのであり、厳しい対応が必要だろう。
問題のニュースにはコロナ禍で資金繰りに失敗したから…と言い訳がましいことが書かれているが、カネは天下の回りもの。
いわばエネルギーみたいなもので、滞れば社会全体に支障が生じることは長引く不況を脱せない現在、誰もが心のどこかで直観できることだろう。
ゆえに社会的な視点から見ても小さな出来事ではないし、許されるものではない。

そもそも、缶ビールを買うにしろ、ラーメンを食べるにしろ、僕ら消費者は対価を支払って物を買う。
缶ビールの対価を支払わずにポケットに突っ込み店を出れば、それは万引き行為であり、窃盗だ。
にも関わらず、話題の使用者は労働という商品を使用者から受け取りながら対価を支払っていない。
やっている行為は万引きと変わりないのに、コロナ禍で経営が苦しかったからなどとの言い訳で世間から甘い目を向けられている節が、僕には納得がいかない。
経営者側からすれば視点が変わるのだろうけれど、労働者側からの視点に立てない経営者は甘やかしてはならない。

この記事を書いた人

名無しのユータ

「読書が趣味」という訳ではないし、遅読で読解力も低い。けれど、読書を続けることでモノを考える力がやっと人並みに得られると感じ、なるべく毎日、本を紐解いている。
趣味はランニング、植物栽培など。