大会前、メンタル絶不調で出場を取りやめることさえ考えていた「オンタケ100」。
が、この大会を完走することは自分で決めたこと。
完走できなくとも、出場しないことのほうが後悔すると思い王滝村までクルマを走らせた。
「オンタケ100」とは、トレイルランニングの大会でも異色のレースだ。
木曽地域の林道を100kmあるいは160km走るのだが、道中は林道がゆえに展望は皆無に等しく、ガレた砂利道や崩壊した道路を延々と走り続ける。
普段は一般人の立ち入りが規制されているため、他の登山者もいなければ応援もない。
エイドも必要最低限で、各自距離に応じた補給食等の持参が求められる。
緻密な計画と持久力、そして代わり映えのない景色をひたすらに走る精神力が必要となることから「走る座禅」とも別称されるのだ。
僕がエントリーしたのは100kmの部門。
メンタル疲れの不眠続きだったので、松原スポーツ公園に到着後は3時間ほど、案外寝ることができた。
スタートは夜中の0時。
真っ暗闇の中、大勢の選手が連なりスタート会場を発てば、ライトの行列が前方を明るく照らす。
真夜中に、しかも山の中を走る変態がこんなにもいるのかと客観的に考えると異常だ(笑)
序盤の上松ループ(52km地点まで)では、とにかくペースを抑えることに決めていた。
慣れない暗闇での走行と、砂利道。
コケたらダメージが大きい。
無事に夜が明け、50kmほどを走り切りスタート地点へ戻ってきた。
30kmを過ぎた頃からずっと雨が降り続き、全身ビショ濡れ。
シャツを替えシェルを羽織るも、防水性能の落ちたジャケットから雨が染み込んでくる。
靴は何をしたってグチョグチョ。
メガネにワイパーがついていないことが悔やまれる。
スタート会場を後にすると、なんと100マイルの選手に抜かされる。
僕よりも50km以上の距離を重ねているのに足運びは軽快で鮮やか。
そのとき、ハンデある選手に颯爽と抜かされたことを情けなく感じ、火がついた。
2個目の山で追いつき、降りで抜かされる。
そして3個目の山でまたもや追いつき、今度こそ抜かされないようにラストの降りは全力疾走。
なんとか抜かされる前にゴールを果たした。
と思いきや。
あとでタイムログを確認すると、100マイル1位の方は僕よりも10分ほど早くゴールされていた。
水交園(約70km地点)を出てから抜かされ、必死で追いかけたけれど追いついていなかった。
抜かしたと思ったのは違う選手だったようだ。
しかも10分ほどの差をつけられてフィニッシュとは、恐れ入る…。
それだけ上位の選手は速いということを身を持って知った。
とはいえ、走り方、急登での歩き方、ポールの使い方など、いろいろと学ぶところあり、オンタケでの最大の収穫になった。
長い距離を走る持久力養成のために今年は4月、5月と100kmマラソンに出場。
それはオンタケのため。
そしていつか走る100マイルのため。
ようやく日本でいちばん有名と言っても過言ではない100マイルレース「Mt.FUJI100」に出場するためのポイント(itra10P)は、このオンタケ完走によってゲットできる運びとなる!
あとは抽選に当たれば、来年には出場できるだろうか…!?
さらにおこぼれで、オンタケ100マイル出場資格の14時間切り(13:42:18)も達成!
メンタル絶不調でも出てみてよかった。
遠出も気晴らしになったし、何より達成感が凄まじい。