マンサンダルを自作した

神奈川県松田町にある「山の店ウエレン」さんでマンサンダルをつくった。

そもそもマンサンダルとは、

【マンサンダルとは】MANSANDALSとはベアフットランナーである坂田満(manさん)が開発した裸足の「ゼロ」を基準に最小最低限の素材を組み合わせ、可能な限り裸足に近い履物を追求した結果生まれたサンダルです。 これ以上何か足し算することも、ここから引き算することも許さない、絶妙なバランスに仕上がっています。ミニマリズムの極致です。

引用元: 完成品マンサンダル【サイズ選択必須】ブラウン×レッド | マンサンダル®︎公式ショップ MANSANDALS

とある。

ウエレンさんではワークショップ形式で自らマンサンダルを作るのだが、製作前にこのギアについての理論的な話があった。
本来人間は裸足だったのが、靴を履くことによって地面と接する機会がめっきり減った。
さらに靴下を履くことによって、いくつもある足の骨を自在に駆使することができなくなり、かえって故障のリスクも増大したという。
ゆえに理論においての根幹は「原則裸足」であるのだが、コンクリートの現代世界では怪我のリスクもあり、仕方がないので地面と素足に直接接しないためのバッファーを挟み込んだ。
それが「マンサンダル」であるのだそう。

そしてマンサンダルは、その他一般のサンダルやシューズのように、紐で足を窮屈に縛りあげることはしない。
むしろ緩く紐を纏うことによって、そのぎこちなさと使い勝手の悪さが、身体の姿勢や動かし方を本来のものに改善してくのだ。
実際に履いてみるとなるほど、履くというよりも足にサンダルを吊るしたといったほうが良い。
足を動かせば、足に追従して靴底が「ついてくる」。
なかなか言葉で言い表すことは難儀するのだが、極論すれば使いづらい(笑)。

ワークショップのあと、近所に買い物に出かけたほんの1kmほどの距離を、マンサンダルを履いて走ってみた。
率直に痛い。
どこが痛むのかといえば、まずは爪先だ。
出した足が先行すると、サンダルのソールから指先が飛び出てしまい、アスファルトに指が削られる。
それを抑えるために、足の指がソールを「握る」羽目になる。
その握りが摩擦によって擦れる。
さらに着地時の衝撃を抑えるために、走りながら足を置く位置を探ることになるために、いつもとは違う筋肉を使う。
普段の僕はどちかといえばフォアフット寄りになることが多いのだが、マンサンダルを履くと、なんとなく「ちょうどいい」場所がある。
足と地面がふわりとタッチできたような、心地の良い場所を手(足)探りで模索し、いつの間にか姿勢が「矯正」されているような気はする。
そして慣れない動きが、僕の足首に痛みとなって現れた。

ウエレンの店長さんは、これがスパルタだという。

マンサンダルを履くことによって、必ずどこかが痛くなる。
その痛みを解消する動きを履き続けることによって追い求め、ついぞ姿勢やフォームが改善されるのだとか。
いやはや、長い道のりだ。

そして思ったのは、この動き。
プールのなかで走ることに近いのではないか。

水中のなかを移動することは、かなり難しい。
とくに背の低い子どもは、鼻や口が水面よりも下方に来てしまい、大人用のプールに入る場合には水中で沈んだり飛び上がったりの繰り返しを要求される。
スイミングレッスンのあいだ、敷台がなければ、生存のためにぴょんぴょんと跳ね続けなければならない。
泳いでいなければ無論、跳ねながら移動する。
このときの足先メインで跳ねる動作に近似したものを感じるのだ。
子どもだけではない。
水中を(歩くのではなく)走ろうとすると、陸とは違って足を大きく動かすことは出来ない。
試しに手で水を掻く動作を行わず、陸と同じようなフォームで走ってみると、驚くほど前に進まない。
それでころか、足を前に出せないのだ。
前に駆け出すエネルギーが上半身に受ける水圧によって打ち消され、ミドルやヒールで着地をすると足を前に出す回転が間に合わない。
結果として、筋肉が勝手にフォアフットを選び、いつの間にやら水中に適応した楽な動作でプールを移動することになっていく。
もっとも、水中ではフォアフット以外で着地すると、身体が痛みとしてアラートを出す。
それくらい、水中では不自然さが動作から淘汰される。

マンサンダルを履くと、この動作に近い感覚を覚える。
自然とフォア寄りの着地となり、力ずくで前に進むことよりも脚を回転させることに重きが移り、不自由と「友達」になれる気がする。

ただし、僕が走ったのはワークショップの時間と買い物の時間を含め、たった1kmほどだ。
これ以上走るとどうなるのかは、まだまだ未知数。
もう少し使ってみて、感想を書いてみよう。

この記事を書いた人

名無しのユータ

「読書が趣味」という訳ではないし、遅読で読解力も低い。けれど、読書を続けることでモノを考える力がやっと人並みに得られると感じ、なるべく毎日、本を紐解いている。
趣味はランニング、植物栽培など。